職域健康診断の覚書
康雲堂はもともと小児科医である(であった)。
小児期に手術を受けたり、慢性疾患があって経過観察する患者が、やがて成人になっても継続して診療を希望され成人内科の領域にも携わるようになった。
最近では巡回健康診断で成人や高齢者の診察の手伝いもするようになったので、現在では小児科・内科医と言ったほうが正確だ(内科・小児科医ではない)。
職域健康診断の一次健診では問診と胸部の聴診、必要な場合に神経反射や口腔、鼻腔、皮疹の有無などをチェックする。
先日、某有名IT企業の35歳以下を対象とした巡回職場健診に参加した。一次健診なので採血やレントゲン所見などの詳細は不明で、自覚症状や既往歴のチェック、体重や血圧の評価に加えて内科検診を実施する。
若年者の健診だったのに、肥満、高血圧、高脂血症治療中、頭痛、気分障害など、多彩な有所見者や病歴のある若者がいた。IT関連産業の過酷さを背景にしているのだろう。週末は休みを取れているようだが、週日は深夜の帰宅、不規則な食事、コンピュータやモニターの長時間作業など、原因はさまざまだが、生活習慣病予備軍が大勢いた。
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外来診療とは違う健康診断で鑑別として頭の隅に置いておかなければならないポイントを記録しておく。
〇治療中の難治性高血圧:原発性アルドステロン症
〇頻発する頭痛:緊張性頭痛(肩こり)と運動不足、前兆のない片頭痛、うつ病
〇体重減少:甲状腺機能亢進症
〇下痢や腹痛:プロトンポンプ阻害薬の副作用、顕微鏡的大腸炎
〇便秘:薬剤性便秘、最近の薬剤変更、抗ヒスタミン剤の内服、Ca拮抗薬