インフルエンザが流行期に入った

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厚労省の11月15日の発表によると、昨年より4週早くインフルエンザが流行期に入った。

11月4日~10日の1週間で定点当たりの患者数が1.03人となり、流行入りの目安となる1.0を越えた。患者が多いのは沖縄4.45人、鹿児島2.66人、長崎2.31と西日本で目立つが、青森でも2.48人となっており、すでに全国的な流行が目前だ。

今年も抗インフルエンザ薬については、格別の話題があった。

昨シーズン爆発的な売れ行きを上げた、一回の内服だけで有効なゾフルーザ(一般名バロキサビル・マルボキシル)の投与について、日本小児科学会や日本感染症学会がインフルエンザの治療指針において、ゾフルーザの12歳未満患者への積極的な投与を推奨しない、と公表した。他の抗インフルエンザ薬と同等の効果はあるが、耐性ウイルスの出現が懸念されるためだ。当面は小児への投与は差し控えになるのだろう(指針では慎重に検討することと表現されている)。

一方、一時中止されていたタミフル(一般名オセルタミビル)の10歳以上への投与は昨年度(2018年)から許可された。あわせて、タミフルに限らず、インフルエンザによる発熱発症から2日間は異常行動には注意するよう保護者や家族に説明することが求められている。

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巷間、インフルの予防接種は効かないと言って、受けないと声高に言いはる人がいる。ワクチンの効能は感染を阻止するのではなく、発症を抑制し症状を軽減するでこと、であることがあまり理解されていない。ワクチンが効くの?、効かないの? と質問をよく受けるが(ワクチン不信感?)、重症化の阻止や病状の軽減に予防接種は受ける意味があることをその都度、伝えている。高齢者や集団生活が必要なこども達ははぜひ受けてほしい。

鼻にスプレイするだけの国産経鼻インフルエンザワクチンを阪大微生物病研究会が開発した。治験が今年7月に終わり、近く国へ承認申請すると報道された(東京新聞、11月16日)。米国では鼻に噴霧する生ワクチン「フルミスト」が販売されているが発熱などの副作用で高齢者や乳幼児には使えない。第一三共が承認申請中で、国の審査中という。阪大微研の開発したものは不活化ワクチンで副作用が少ないらしい。承認されれば、痛いインフルの予防注射はなくなるかもしれない。

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タミフル(オセルタミビル):ドライシロップ(3%)、カプセル75㎎

リレンザ(ザナミビル):5㎎ブリスター(1個)

イナビルラニナミビル):吸入粉末剤20㎎

ゾフルーザ(バロキサビル・マルボキシル):10㎎錠、20㎎錠、顆粒2%分包

ラピアクタ(ペラミビル):点滴静注液バック300㎎、点滴静注液バイアル150㎎

一般名がなかなっか覚えられないのが悩みだ。